火傷は、アイロンや蒸気、熱した油、
熱湯などの熱いものに皮膚が触れた場合に生じる疾患です。
上記の熱により、皮膚が損傷されると皮膚がヒリヒリと痛んだり、
水脹れが出来たり、そして、ヤケドが重い場合、痕が残る恐れがあります。
また、ヤケドにより皮膚が損傷すると
ウイルスの侵入を阻止してくれているバリア機能が低下してしまう為、
様々な感染症を起こしやすくなります。
ですので、ヤケドをしたら
すぐに冷水で冷やすなどの応急処置が重要となります。
冷やす時間は、15分~30分くらいがベストです。
そのくらいしっかりと冷却することがヤケドを早い段階で
回復させる最も有効な処置となります。
しかし、毛細血管まで損傷を受けた火傷の場合、
すぐに病院へ行って、医師の適切な治療を受けることが大切です。
ですが「毛細血管にまでダメージが及ぶ火傷とはどのような状態の火傷?」
と、疑問に思う方も多くいるかと思います。
実際、火傷の深さはすぐに判断する事が難しい場合があります。
そこで今回は火傷の深さによって、異なる火傷の状態や治し方についてご紹介します。
火傷の種類とは
皮膚は大きく分けて、3つあります。
- 表皮(外側の一部の皮膚)
- レザー
- 皮下
そして、火傷の種類は、上記の3つの皮膚に基づいて、
3つに分類されています。
火傷は、医学的に熱傷と呼ばれています。
- Ⅰ度熱傷
- Ⅱ度熱傷
- Ⅲ度の熱傷
I度熱傷とは
皮膚の表面(表皮)のみの火傷は、I度熱傷と呼ばれ、
火傷をした部位に赤みが生じますが特に治療をせずとも自然治癒で治っていきます。
その為、病院へ行く必要がありません。
いわゆる日焼けは、このタイプの火傷と言われます。
火傷の状態・・・皮膚が赤くなる。
皮膚損傷の日数・・・通常3~4日続く。
治療法・・・軟骨療法。
火傷の痕・・・残らない。
しかし、色素沈着が起こる場合があります。
オロナインを塗って、その上からラップを巻きましょう。
そうすることにより悪化を防ぐことができます。
Ⅱ度熱傷(浅達性II度熱傷)とは
また、浅達性II度熱傷も表皮のみの火傷となる為、
皮脂腺や毛細血管が存在する真皮、皮下組織が損傷することはありません。
しかし、Ⅱ度の火傷には、
治りが遅い深い火傷である深達性II度の火傷もあります。
浅達性II度熱傷の状態・・・痛みが強く、皮膚が赤くなり、水ぶくれが出来る。
皮膚損傷の日数・・・通常1~2週間続く。
治療法・・・軟骨療法。
特殊なガーゼで傷口を密閉する被覆材による治療。
火傷の痕・・・あまり残らない。
しかし、色素沈着が起こる場合があります。
また水ぶくれを潰すと細菌に感染しやすくなることで、
火傷の状態が悪化したり、痕が残る恐れがあります。
Ⅱ度熱傷(深達性II度熱傷)とは
浅達性II度熱傷、深達性II度熱傷、
どちらも水ぶくれを起こす中間の深さの火傷となりますが
火傷の治りが早い浅達性II度熱傷に対して、
深達性II度熱傷は、火傷の治りが遅いのが特徴です。
この為、Ⅱ度の火傷は、
火傷が浅いか深いかをよく見極めて、治療を行う必要があります。
病院では、特殊な医療器具を用いて、
火傷の深さを的確に判断しますので、診断し治療を行います。
深達性II度熱傷の状態・・・痛みは軽度だが、皮膚が赤く腫れ上がり、水ぶくれが出来る。
水ぶくれの下の皮膚は白くなるのが特徴。
皮膚損傷の日数・・・通常1~2ヶ月続く。
治療法・・・軟骨療法。
(火傷の範囲が狭い場合)
火傷の痕・・・残りやすい。
Ⅲ度熱傷とは
火傷によって、真皮深層まで損傷を受けると皮膚細胞の一部が壊死します。
この火傷をⅢ度熱傷と言います。
Ⅲ度熱傷では、皮膚全層が壊死した状態です。
この壊死組織を除去しないと壊死組織の下で細菌が増殖しやすくなる為、
まずは壊死組織を除去する必要があります。
深達性II度火傷の状態・・・感覚が失われる為、
痛みはなく、表皮が壊死している場合がある。
また皮膚が白くなる、或いは黒く硬くなる。
皮膚損傷の日数・・・通常2ヶ月。
また皮膚が再生される事はない為、完治はない。
治療法・・・壊死組織を取り除く手術を行う。
また感染症にかかりやすくなる為、
強力な外用抗菌剤を塗りながら皮膚移植を行うのが原則。
火傷の痕・・・確実にはっきりと残る。
また盛り上がる場合もある。
毛細血管とは
血管の種類は主に3つあります。
- 動脈
- 静脈
- 毛細血管
毛細血管の中には、体の臓器や細胞へ酸素やビタミン、
ミネラルなどの栄養素を届けたり、体内に停留した二酸化炭素や
老廃物を体外へ排出するという非常に重要な役割を担っている血漿と呼ばれる血液が含まれています。
そんな私たちの健康維持に欠かせない物質を
多様に含んだ血漿がある毛細血管がⅡ度以上の火傷によって
損傷を受けると体には様々な弊害が引き起こされていきます。
なぜなら、毛細血管は、真皮に通っている為です。
火傷によって、毛細血管が切れると血漿が流出することで血液量が減少します。
これにより、血圧が低下したり、体内に細菌が侵入しやすくなることで、
様々な感染症にかかりやすくなります。
そして、血漿は火傷によって出来た真皮の傷に入り込んでしまいます。
そして、水ぶくれを作ります。
水ぶくれと言いましても中身は水ではなく、
この血漿ですので、火傷の程度が大きければ大きいほど血漿が大きく失われるという事になります。
血漿の損失が大きいと血漿の輸血が必要となります。
まとめ
表皮以外の真皮、皮下組織には、毛細血管が存在しています。
この為、真皮や皮下組織まで火傷が到達した場合、
毛細血管の一部が切れて、血漿という血液が出てきます。
血漿が火傷で損傷した真皮の隙間に入ると水ぶくれを引き起こしていきます。
ですので、もし火傷を負って、水ぶくれが出来た場合、
II度以上の火傷であると判断する事が出来ます。
感染症を伴わない場合は、浅達性II度熱傷となり、1~2週間で治ります。
しかし、水ぶくれを潰すと細菌感染が生じやすくなりますので注意しましょう。
深達性Ⅱ度熱傷、Ⅲ度熱傷は、
完治するには何ヶ月もかかったり、火傷の痕が残る恐れも高くなります。
火傷は、その深さによって、治療法が異なります。
しかし、火傷の深さに関わらず、
すぐに適切な治療を行うということが何より重要です。
火傷の深さの判別に迷った場合は、
すぐに専門医のいる病院へ行って、適切な治療を受けてください。