これから迎える、うっとうしい梅雨。そして、暑い夏。
この時期(6月から8月)に流行するのが手足口病です。
手足口病は夏風邪の一種で、コクサッキーウイルス16型、
エンテロウイルス71型によって生じる小児の伝染性発疹症で、
2、3年ごとは流行を繰り返し、今年はその流行期に入っています。
症状としては、赤ちゃんが、むずがゆくなり、手足や口の周囲、
口腔内に5ミリ程度の水疱が、散在して生じます。
しかしながら、全身症状も少なく、
合併症もまれで1~2週間で自然治癒するのが一般的です。
母乳で赤ちゃんを育てているお母さん、そしてこれから、赤ちゃんを産み、
母乳で育てようとしているお母さん、どうぞ、安心してください。
手足口病は母乳では感染しません。
あなただけでなく、初めての赤ちゃんを育てている、お母さんの心配を解決しましょう。
手足口病はウイルスによる感染症です。
ということで、まずは相手のウイルスを知らなければなりません。
先に挙げた、コクサッキーウイルス16型、エンテロウイルス71型の他にも、
いくつかのウイルスがありますが、非常に感染力が強く、
ほとんどは、この2種類のウイルスが原因であるといっても過言ではありません。
そこで、手足口病の感染経路から学ぶことにいたしましょう。
手足口病の感染経路。
まず、覚えていて欲しいのは、手足口病は接触感染するということです。
手足口病の患者さんと接し、咳やくしゃみなどからの飛沫感染、
それから、経口接触感染といって、
患者さんの水疱が破れた際の残液や、
便を片付ける際に手に付着したウイルスが、口の粘膜を通して感染します。
それから、目などの粘膜から感染する場合もあるので、注意を要します。
手足口病は母乳から感染することはありません
お母さんは、手足口病は接触感染なので、
もしかしたら、母乳から感染することもあるのではと思われるでしょうが、
母乳には手足口病のウイルスはいませんので、まったく心配はいりません。
それよりも、唾液や鼻水からは感染しますので、
手洗いを励行し、マスクをかけて赤ちゃんに接するようにしたいですね。
このような、誤って赤ちゃんが飲んでしまっても大丈夫!
という除菌スプレーなら安心して使えますね。
それから、赤ちゃんは、お母さんから抗体を貰っていますし、
母乳で免疫力もありますので、生後6ヵ月程度は、病気にかかりにくいものです。
手足口病は4歳児までのお子さんに多い病気
手足口病は、2歳以下が半数を占める感染症ですが、
3歳児になると、保育園や幼稚園に上のお子さんが通いだします。
当然、集団生活での接触の機会も増えるだけに、
感染症に罹患する割合が高くなります、手足口病も例外ではなく、
保育園や幼稚園で感染して、家に持ち込む場合が多く、
赤ちゃんへの感染もそれがきっかけになることがあります。
こちらの動画を見ておくと、手足口病に早く気づけるかもしれません!
手足口病に罹患すると、3~5日の潜伏期間後、
典型的な症状である水疱性発疹が、まさに手足口病というように、
手掌、足の背、足の裏などの他、口腔内の粘膜にできます。
発熱することもありますが、
38度以下の場合が多く、そんなに心配することはありません。
3~7日を過ぎると症状も軽快し、水疱も消えて行きます。
しかしながら、中には、数は少ないですが、
髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの疾患に移ることもありますので、注意をしてくださいね。
近年、アジア地域でみられる手足口病の重症例の急性脳炎は、
エンテロウイルス71型によるもので、このタイプの中枢神経合併症が増えています。
手足口病で母乳が飲めなくなることがあります。
口腔内粘膜の水疱が原因です。
手足口病に罹患しますと、
手足の水疱はそんなに問題になることはありませんが、
口の中の粘膜にできる水疱は、痛みを伴うだけに、少しばかり扱いにくい面があります。
特に、赤ちゃんが母乳を飲むとき、もろに水疱に当たるため、
痛みに耐え切れずに飲むのをやめてしまうことがあります。
それでも、2、3日の間だけですので、しっかりと水分がとれていれば、大丈夫です。
飲ませるためには、まず、母乳を搾ります。
それをコップや器に入れて、少しずつ赤ちゃんに与えます。
直接、水疱に当たるようなことがなければ、
赤ちゃんは飲んでくれますので、栄養的にも一安心できますよ。
手足口病の予防と治療。
そんな難しいことではありませんね。
普通、感染症というとワクチンがありそうですが、
残念ながら、手足口病にはワクチンはありません。
症状に対しての対症療法の選択が第一で、
例えば、かゆみ、発熱には抗ヒスタミン薬や、解熱剤が使われます。
それだけに、お母さんのお子さんの病気への気配りに手抜きがあってはいけません。
常日頃から、赤ちゃん周辺の感染症に対する、
知識をしっかりと身につけなければなりません。いいですね、お母さん!
それから手洗いとうがい、これを忘れてはいけません。
赤ちゃんのためにも、自らが率先して励行する必要があります。
アルコール消毒も有効です。
もちろん、飛沫感染ですので、マスクの使用もお勧めいたします。
手足口病についてはこちらの記事もご参考に(*^^*)
手足口病が治ったら、授乳を開始しましょう。
どうでしょうか?
手足口病が治ったら、再び授乳を始めましょう。
口腔内粘膜の水疱の痛みを記憶している赤ちゃんは、
手足口病が治った後、母乳を飲まなくなることがあります。
そのためにも、痛みを感じさせないような授乳が大事なのです。
特に、一歳児に近くなると、痛みをしっかり記憶するようになりますので、
なおさら、注意をする必要があります。
時に、痛み止めを使用しながら授乳をする場合もありますが、
これらの専門的なことについては、医師に相談してからにしてください。
赤ちゃんの中には、手足口病をきっかけに母乳から離れ、
いわゆる離乳食に移るお子さんもいるようです。
いつの日にから、母乳から離乳食へと変わるわけですから、
無理のない移行のタイミングを見極めて、スムーズに移れるようにしたいですね。
手足口病は一般的な病気。
お母さん、神経質にならなくていいですよ!
手足口病は、非常にポピュラーな病気です。
それだけに、神経質になる必要はありません。
お子さんなら誰もが通る関門みたいなものです。
保育園や幼稚園に行っていれば、そこで感染することもありますが、
慌てず、騒がず、悪化するようなことはありませんので、
お母さんは冷静な態度をとることが大事です。
そして、万が一、ご自分のお子さんが感染した場合は、
二次感染が発生しないように、周囲の皆さんと相談することをお勧めいたします。
さいごに
どうでしたでしょうか。
手足口病と母乳の関係、
そして、そんなに心配するような病気でないことをご理解いただけましたでしょうか?
赤ちゃんに不安感を与えないことが、お母さん自身が安心することです。
そうすることで、赤ちゃんが健やかに育つ背景ができるのです。
お母さん、あなたも皆が通ってきた道を、立派に歩んでいますよ。
だから、安心して!