食中毒の中でも、致死率が高いことで知られるボツリヌス菌。
この名称自体は、何十年も昔から恐れられてきたものですが、
そのボツリヌス菌の中でも、最近発見された新しい型、
h型と呼ばれるものが、今までにない危険度で、大変警戒されているのだとか。

今回は、このボツリヌス菌h型の危険性についてご説明します。

ボツリヌス菌とは

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今まで認知されてきたボツリヌス菌について、おさらいしましょう。

ボツリヌス菌は、食品を介して感染する細菌で、
大変強い毒性を持っています。

日本では、飯寿司や切り込みなどの郷土料理から感染したケース、
辛子レンコンなどの加工品から感染したケースなどがあります。

また、乳児の場合は、蜂蜜を食べることでボツリヌス菌の芽胞が発芽し、
それが原因となってボツリヌス症を発症することがあります。

これは特に「乳児ボツリヌス症」と呼ばれ、
大人は蜂蜜からボツリヌス症になることはありません。

このボツリヌス症の症状としては、よく知られている食中毒のように、
下痢や嘔吐をするわけではありません。

神経に働きかける毒素のため、四肢、筋肉が麻痺していき、
そのままにしておくと呼吸筋までもが麻痺し、呼吸ができなくなって死んでしまうのです。

ボツリヌス毒素は、少ない量で死に至ることでも恐れられています。
どれほどかと言うと、この毒素が500グラムあれば、
世界の全人類を全滅させることができると考えられています。

従来のボツリヌス菌でもこれだけの毒性を持つのに、
新しいh型というのは、どれほどの毒性を持っているのでしょうか。
それについて、次項でご説明します。

ボツリヌス菌h型は、ごく最近発見された

ボツリヌス菌は、2013年までは、
7種類(a型~g型)の型があると考えられてきました。

しかし、2013年、米国の研究者たちによって、
新しい型であるh型のボツリヌス菌が発見されたのです。

このh型は、人に吸入させて死に至らしめる場合、
13ナノグラムが致死量とされています。

13ナノグラムなんて、身近でない重さの単位を言われてもピンと来ませんよね。
グラムで言い換えると、13ナノグラムは10億分の13グラムです。

どれほどの少量なのか、大体想像が付いたのではないでしょうか。
従来のボツリヌス毒素の一人当たりの致死量は800ナノグラムほどですから、
h型は実に1/60の量で人一人の命を奪うことができる、強力な毒素ということです。

先ほど、ボツリヌス毒素で世界中を全滅させるのに
500グラムの毒素が必要と説明しましたが、
h型を用いる場合は、その1/60
つまり、8.3グラム程度あれば全人類が死んでしまう計算になります。

ボツリヌス菌h型は、機密扱いになるほど危険な存在

これほど強力な毒素ですから、
研究者たちはただ黙ってボツリヌス菌h型の全てを公開するというわけには行きません。

強力な毒素が発見されると、
まずは、兵器などに悪用されることを阻止する必要があるからです。

現在は、発見されて間もない細菌ということもあり、
抗毒素が発見されていない状態です。

ですから、誰かが悪用してこの毒素をばら撒いた場合、
誰一人として助けることができないのです。

そのため、今のところは、研究論文を発表しないことで、
世間にボツリヌス菌h型の細かい情報を知らせないように
配慮する必要があるということですね。

このように、ボツリヌス菌h型は、
悪用されるとそのリスクが計り知れないものであるがために、
感染経路なども明かされてはいないほどのトップシークレット扱いの細菌なのです。

まとめ

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いかがでしたでしょうか。ボツリヌス菌中毒についてと、
その中でも特に危険なh型について、ご説明しました。

今回は、h型がどれほど危険かにスポットを当ててお話ししましたが、
従来のボツリヌス菌も、もちろん危険であることには変わりありません。

世界規模で考えると、致死量が1/60ということは大きな違いがありますが、
一般人がかかる食中毒の規模で見ると、
10億分の13グラム(13ナノグラム)も、1000万分の8グラム(800ナノグラム)も大差が無いように思います。

ですから、私たち一般人は、
常識の範囲でのボツリヌス食中毒を防ぐことに専念するしかできることがありません。

加熱殺菌が一番有効ですが、それ以外には消毒です。

ボツリヌス菌は次亜塩素酸に弱いそうなので、
次亜塩素酸系のスプレーでこまめに除菌しましょう。

あまり、身近でないものに恐れをなして
身動きが取れなくなってしまっては本末転倒ですから、
小さなことから自分の身を守るためにできることをしていきましょう。